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【後編】アラスカロケ行ってきました。新機材新技術導入 撮影技術者として

先月に引き続き片浦がアラスカロケについて書かせていただきます。


まだご覧でなく、もしご興味がありましたら下記URLより前編もご覧いただけると幸いです。



今回のアラスカロケは本当にいつもと違うことの連続でした。

生活環境はもちろんですが、なんといっても技術者として新しい技術・機材に挑戦させてもらえたことは本当にいい経験になったと思っています。



僕は主にロケ音声として、テレビで観ていただくための映像に関わることが多く、一般的に家庭で多くあるテレビで再生できる音を録ることが多くなります。

多くのテレビはステレオ再生(スピーカーが右と左に二つ付いている状態)になると思いますので現場で録るのは多くて2つの音源(画面の左右)までということになります。


ただ今回、アラスカでの番組では5.1chという音声のシステムでの製作が求められました。

5.1chとは、要は通常のスピーカー5つとウーハーという低音を専用に再生するためのスピーカー1つで視聴者をぐるっと囲んでしまうという音響のシステムです。



僕はこれまでに5.1chでの収録の経験はなく、そもそもどの機材を使えば録れるのか、何に気をつければいいのか全くわからないところから始まりました。


実際にロケでは上記5.1chシステム6つの音源を1つのマイクヘッドで録れる一体型のマイクを使用して収録したのですが実際に現場ではヘッドホンでチェックするため実際の5.1chのスピーカー環境でチェックできるわけではありません。

それぞれのマイクでどんな音が録れているか単音で確認しながら収録をしていくのですが全方位の音が録れてしまうので録っている最中は全く身動きができません。

また、撮影が終わった今も5.1ch環境での再生は行っていないため、実際にうまく録れているのかどうかはまだわかりません。

実際にやってみて難しいというよりはこれで正しいのか、問題なく収録が行えているのかがいまいちわからず不安、というような感覚です。

実際に録った音を5.1chで聴くことが楽しみな反面、まだまだ不安です。



また今回もう一つ普段とは違う収録方法としては水中の動物の声を録音する機会があり、水中マイクを使用しての録音も行いました。


水中の音の録り方というのは聞いたことはあり、改めてロケ出発前に先輩や経験のある方々に話を聞いてロケに行きました。

録音の方法としてはいくつかあって、そもそも水中用のマイクを使う方法、耐水のマイクを完全防水できるよう手作りする方法、防水のカメラを使って録る方法など、手軽なものから本格的なものまで工夫次第で色々な録り方があるんだと知りました。

今回は完全に防水のマイクを使用して録る方法を選択しました。

水に入れればとりあえず録れるためそこそこ手軽ではありましたが、水中に入れるマイクに限った話ではないですがマイクのケーブルを握る音やケーブルが揺れて船体に当たる音などかなり敏感に拾ってしまっていたためその対策が必要でした。

また思いの外収録できる範囲が狭く、自分では被写体に近づけない船上でのロケということもあり、なかなか想定外の煩わしさも感じました。



普段と比べると特殊なことを色々と経験させていただいて、録り方は違えどやることの基本は普段と同じだと思いました。

ヘッドホンの音をじっくり聴いて、ノイズはのっていないか音量は適正かチェックするためなど根本的な理由もあるものの、僕はロケ音声として、撮っている画に合う音はこの音でいいのか、自分が感動したから聴いてほしい音などを聴いていただくために正確な音を録る。

そこは変わらないと思いました。


仕事も長くなってくると少しずつ新鮮味が薄れてしまっていたと反省します。

初めての環境や新しい機材は、音に感動する、それをじっくり味わって録るということは大事なことだと思い起こさせてくれました。

海外だからとかいつも使う普通の機材だからとかそういうことは関係なく、その場に自分がいて、素晴らしい話をしてくれる方がいたり、美しい環境があったり、その感動や喜びを伝えられるのは自分しかいないという気持ちでやっていこうと気を引き締めてくれるアラスカロケとなりました。


まだまだ思い出深い体験がたくさんあるものの今回はこの辺にして、放送でどう仕上がったか、楽しんでいただけると幸いです。



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